ワイン屋を辞め、業界からつかず離れず…という状態で暮らしております。
そしてたまーーーに、以前勤めていたワイン屋のお手伝いをさせてもらったりも。
でも基本、ブルターニュ暮らしです。
さて、今回復活したのは、どうしてもこれは!言っときたい!!というワインを久々に飲みまして。
…といっても約一ヶ月ほど前のことになりますが。
夏の日差しの強さが若干残る、9月初日。
段々と日が短くなっているとはいえ、まだサマータイム。遅い日暮れまでの時間、ボートで海へ出て浜辺でアペリティフ…という私たちの夏の定番をこの日も楽しみました。
そして、持って行ったのがフランソワ・デューム「ジュ・ド・ヴァン」2015年。
きれいな色!日にかざしてうっとり。オーヴェルニュ地方で造られたガメイ種です。
オーヴェルニュはワインの生産地としてはあまり知られていませんが、山々の連なる地域で、ワインを造るのにはとても適していると思います。昔の火山地帯で、その地質がワインの味に影響しているのでしょうか、多くの場合、ミネラルが感じられ、個人的には大好きです。
そしてこのワインは!
ミネラルだけでなく、ウマミたっぷり!!
超絶美味し過ぎてもう「ノー・コメント」!!!
…って、ノー・コメントじゃあ話になりませんね。
敢えて言うなら「これはワインじゃない」。
以前、友達がうちに遊びにきたときに、自分の大好きな自然派ワインを出したら、「これ、美味しいね。でもワインじゃないわね」と言われたことがあります。その友達は、昔ワイン・バーをやっていたワイン好きな人ですが、クラッシックなワインの味に慣れている人でした。
つまり「美味しい」けれど、彼女の考える「ワイン」という規範にそぐわない、ということだったようです。
じゃあ「ワイン」って一体何なの?と、そのときの私は思いました。
たしかに自然派ワインは一般にイメージされている「ワイン」という枠に当てはまらないことがあります。それは普段は隠されようとしている個性的な面、揮発酸やアセテートのような「欠点」と言われる部分などが突出してしまっていたり、樽香がしなかったり(わざとらしい樽香を嫌う生産者も多いですし、樽で熟成されていなかったら当たり前のことですが)、色々な要素が原因となるでしょう。でも、それでもワインなのです。「ワインではない」と言ってしまうのは、飲む側の固定観念のせい、想像力不足のせいなのではないでしょうか。
だから「これはワインじゃない」と言われるのは、すごく嫌でした。
でも、このジュ・ド・ヴァンは、「これはもうワインじゃない!」と感じてしまいました。それは「ワインという枠を超えている!」という意味です。
「これはワインじゃない」かもしれない。
でもワインじゃなくったって良い。
カテゴリーなんてどうでも良い。
ワインという枠にわざわざ押し込める必要はない。
ただただ美味しい!!
それに尽きる。
だからもう「ワイン」じゃなくて「美味しい飲み物」と呼びたい!!
…ということを初めて考えさせられたワインでした。
(今までが考えなさ過ぎなのかもしれませんが…。)
ただ、やはり生きているものだから、その日そのときその場所で自分にとってはすごくすごく美味しかったけれど、別の機会ではまた違う顔をみせるかもしれません。
そういうところも含めて、やっぱりワインが好きなのです。