2014年5月31日土曜日

今日のワイン : Pierre Beauger "Vin à la noix"

5月ももう終わりですね。前半にバタバタしたので、ちょっと疲れ気味、ブログの更新もすっかり滞ってしまいました。(…って、いつものことですが……。)

そんな今日この頃、「美味しい〜!」というワインはあっても「それについてどうしても何か言いたい!」というほど心を動かされたわけでもなかった、というのも更新に至らなかった一因。

でも!今日は!!
これは本当にすごい特殊で貴重なワインなので、一言書き留めておきたい!のです。

ピエール・ボジェの「ヴァン・ア・ラ・ノワ」。

昨日、色々と入荷があり、その中にまじっていたのがオーヴェルニュからピエール・ボジェのワイン。フランスは今週、木曜日が祝日で、金曜日に橋をかけ(飛び石連休になるとき、間に休みをとることをフランス語表現でそう言います)出かけるパリジャンが多かったようで、静かな金曜日の夜。閉店近く、夫がお店に遊びに来たので、店主が「じゃあ何か飲もうか?」と提案してくれました。「今日届いたものの中からがいいな〜」とにおわせたら、ちゃんとわかってくれてこれを出してくれたのでした!(多分、店主は自分も飲みたかったのだと思いますが。)

マルセイユの試飲会「ラ・ルミーズ」で既に試飲したのですが、そのときは説明を聞きつつも「?」な感じでした。
たしか胡桃を漬け込んで寝かせたのだとか…。
あまり詳細を聞かなかった。

ベースはガメイ種の赤ワインらしい。
「生の胡桃を入れたのかな?」「多分…」「アルコール13度って書いてあるけど、胡桃がワインを吸収して濃縮されてないかな?それとも逆に胡桃から水分出てるとか?」「でもどのくらいの量の胡桃を入れたんだろう?」「ベースのワインはどうして白じゃなくて赤?」「うーん、どうしてだろ?」「そもそもなんで胡桃を入れようと思ったんだろ?」……
3人で話し合いながら疑問が次々と浮かんでくる。
ヴィンテージも、「La VaN 01」という表記はあるけれど、それが2001年を意味するのかどうか?「私は『ヴァン・ア・ラ・ノワ最初の年』っていう意味じゃないかと思う」と言ったら、店主と夫に「ピエールはこれをまだ2年目、3年目と続けてやるつもりってこと?」と反論され…うーん、さすがにそれはないか?
(ピエールにメールで聞いてみようかな?)
ボトルのサイズも、ハーフボトルかマグナムしかないというのも謎。
でも、かなり濃厚なので、3人でもハーフボトルでちょうどいいぐらいだったかも。
瓶の底の方は澱でかなり色が濃く、「これって開栓前に振るべきだった?」とまたまた疑問を抱きつつ、味の詰まった最後のグラスも美味しかった。
あきらかに胡桃、ちょっとヴァン・ジョーヌのスパイシーさに通じるようなところあり、しかしなんとなく梅酒のような風味もあり。
店主がたまたま買って冷蔵庫に入れていたチーズ、ボーフォールを出してくれて、これがつまみによく合いました。「ヴュー・コンテだったらもっと合うかも」…って、すっかりヴァン・ジョーヌ路線ですけど。

実は5月半ば、ピエール・ボジェの蔵を訪問する機会に恵まれ、それは私としては胸に染み入る体験でした。それについてブログに書こうか書くまいか迷っているのですが…そのうち書きたい…かも……。

追記:ちなみに一本しか入らなかったこれのマグナムボトル、今朝、早速買われてしまった…。買っていかれたのは、常連さんだけど、ピエール・ボジェとかあんまり関係なく、ただナチュラル・ワインが好きな、お店のお向かいに住むマダム。70歳の誕生日に特別なワインが欲しいと思ってたところ…とかなんとか言っていたような。店主が「すっごく高いんですよ」とか、やんわりと買わない方向へもっていこうとしていたようだけど、結局即買いされてしまった。そりゃあ目につくレジ横に堂々と置いてたら気になるわなー。でもあのマダムに買われたのだったら個人的にはなんとなく納得いく…。ハーフボトルはまだありますよーー。

2014年5月11日日曜日

L'Arsouille ランチ再訪

(前回の続きです。)

「明日の昼ならクリスがいるよ」と言われ、結局翌日、ランチの時間に再訪。
クリスに会いたかったし、せっかくだから席があいていればランチも食べて行こう…と12時半頃に入ってみたら、まだガラガラでした。レンヌもパリと同じく、みんな1時くらいからお昼を食べるのかな?
バーカウンターにロワール地方の生産者ロラン・ルブレッドが来ていて、試飲用に持ってきた新しいワイン「ラ・ソーヴィニヨンヌ」を開けたところでした。クリスに誘われ、私たちもご一緒することに。
品種はソーヴィニヨン・ブランで、マセレーション(果皮を漬け込む製法)した白。色合いは濃いめで辛口。ロランが「お宅の店にも卸したよ」というので、また飲める!と何となく安心。(ちなみに写真はうちの店内で撮ったものです。)

クリスはランチの準備でキッチンに入り、鴨の胸肉の燻製スライスをつまみに出してくれました。少しタンニンのあるこの白に意外と合う。ロランとお喋りしながら飲んでいたら、段々とお客さんが入ってきました。バーカウンターも埋まってきて、サマンタに「移動してくれない?」と促されてキッチンへ退散。クリスと話しながらキッチンのカウンターで飲める特権!しかし、狭いキッチンに3人、それもそのうちの2人は図体のでかい男(失礼!)なので、邪魔だっただろうなあ。でも多分いつものことで、他のキッチンの人たちもサマンタも気にしていないみたい。

次々と注文をこなしていくクリスの手際に見とれつつのんびり飲んでいる私たちの背後では、ホールは超満員らしく呼び鈴が鳴っても皿をとりにこれないサマンタが時々「無理!」と答えている。そんな忙しい合間にも出してくれたのが、セバスチャン・ボビネの「レ・グリュッシュ」2011年。最初ブラインドで出された他のシュナン種の白を、ロランもクリスもあまり気に入らなかったようで、飲み切らないうちにクリスが新しく出してきたのがこれ。ロワールの生産者、クリスチャン・ヴニエにもらっという、どでかいバターの塊と。
ソミュールの白、品種はシュナン。スッキリしているけれど平らではなく、底にミネラルがある感じ。ロランも納得。

お腹が空いてきて、ランチの注文が落ち着いたら何か頼ませてもらおう…と思っていたら!突然ラヴィオリのスープ・ボウルが目の前に差し出されました。クリスったら何気なく私たちの分をちゃんと作ってくれていた!そしてその後、セヴィーチェ、ラングスティーンと、次々続く!
スパイシーなセヴィーチェでした。
千切りの白い野菜は根セロリ。

ラングスティーヌ大好き!
赤いのは乾燥ビーツ。
クリスのセンスでインプロビゼーションで作ってくれたみたい。うわーん、すごい!嬉しい!…と満足していたら、更にもう一皿!
メルルーサの切り身を皮の方からだけ焼いたもの。良い火の通り具合!乾燥トマトと一緒に。

ワインは、またまたクリスからのブラインド。ミネラリティから、フランク・コーネリッセン?をちょっと思い出したけれど、あの独特の苦味はないし、フランスのワインだと言われ、みんな口をそろえて「オーヴェルニュのガメイでしょ」と。ところが!ボジョレでした。瓶を見せてもらってないのですが、イヴォン・メトラのボジョレ・ヴィラージュらしい。うーん、このミネラリティがすごい。タンニンも軽いので魚に合います。

気がつけばホールのお客さんはみんな帰ってしまっていて、ランチタイム終了。クリスがスタッフのまかない用メルルーサを焼き始めたところへ、メラニーもやってきました。天気が良いのでテラス(っていうか路上…)で食べようと、スタッフたちがテーブルをセットし、私たちもグラスを片手に移動。
クリスは全部カラフしてブラインドで出してくるので、瓶は見ていないのですが、ここで出てきたのはギィ・ブルトン(ボジョレの造り手)らしい。
なんとデザートまで出してくれました!
苺とチョコレートムース。

夫がカラフを見て「これ、マグナム(1,5リットルのボトル)?量が多いみたいだけど?」と言うと、クリスからは「ん?普通のボトル」という返事。「え?マグナムじゃないの?」ともう一度聞くと、「俺にとっての普通ボトルってマグナムのことだもん!」と…。なるほど…お見それいたしました。

そういえば昨年、10周年を記念してイベントをやったらしいのですが、そのときのコピーが「10のワイン生産者、1000のマグナム」だったのです。
1000まではいかなかったようだけど、相当な数のマグナムを開けたらしい。ありえな〜い!!でもクリスならありえる…。

やがて「サマンタにこれじゃないキュヴェを出すように言ったのにな。これは若過ぎる!」と不満気なクリスは「夜になったら美味しくなってるよ」とカラフを店内に引っ込め、別のものを持ってきました。
同じくギィ・ブルトンで、モルゴン、ヴィエイユ・ヴィーニュ2007年。これに比べればたしかに前のはかなり若かったかも。今度のはタンニンがずっとこなれてる。

クリスの友人が数人、通りかかって仲間に加わり、ワイン飲みはまだまだ続く!太陽がさんさんと降り注ぐ下、まったりと。

雑談の中でもイエロー・ページにラルスイユの電話番号と住所を載せた話が面白かった。
クリスは載せたくなかったらしいけど、とにかく載せることになって、でもレストランの項目には入れないでくれ、「ミニ・ゴルフ」にしてくれ、と頼んだらしい。その結果、レストランとして載ってはいるけれど…
ミニ・ゴルフも併記。
…って、ラルスイユにミニ・ゴルフないし!どこからそんな発想が???
お、おかしい〜〜。これ見るたびに笑ってしまう!
さすがクリスだ〜〜!!

続いて、再びロランの「ラ・ソーヴィニヨンヌ」。今度はカラフして。
のっぽなきれいなカラフ。
南米のおみやげなんだとか。
クリスは「このワインについて何が良いと言えるかわからないんだ」と手厳しい意見でロランに詰め寄っていましたが…。マセレーションが流行っぽいから嫌なのかな??私は結構好きだけど。カラフしたら少しスパイシーさが出て、また違った味わいなのも良い。

しかし、人数が多く、普通サイズ(一般人にとっての)ではすぐ一本空いてしまった。で、お次はアンドレア・カレックの「ブラン」2008年。
カラフの隣りの濃い色のグラスは澱!
この細かい澱をちょっと味わってみたけど、意外と美味しかったです。でも飲むものではないですね…。ワイン自体は、時間を経て、多分だいぶ落ち着いたのだろうと思いますが、パイナップルやココナッツのような華やかなフレーバーが溶け込んでいて美味しい。初夏のような日差しの中で飲むのに最高〜!

で、気づけばもう午後6時過ぎ!待ち合わせがあったので、フラフラとレンヌの街中へ繰り出し、夫の友達と合流。その後、結局またラルスイユへ逆戻り。
テラスではまだまだ飲み会が続いていた…。クリス、夜の準備は大丈夫なのかな??
…と横目で心配しつつも、こちらも友達と4人でもう1本。昨夜も飲んだパトリック・ブージュの「フェステジャー」、でも今度は白。甘みがあり、飲みやすい。でもこれだけ飲んだ後では、2杯目くらいからこの甘みにちょっと疲れました。まあ美味しかったんですけどね。ロゼの方が好きかな。

夜のTGVでパリへ帰らなければならなかったので、8時過ぎにラルスイユを後にしました。幸せな気分のままパリ帰着。

あ〜さすがに少し酔っ払った〜、でも楽しかった〜!ラルスイユ、大好き!!今度はいつ行けるかなあ?