2013年8月9日金曜日

パンと牛乳

フランス語の表現で、「ça se vend comme des petits pains」というのがあります。直訳すると「美味しいパンのように売れる」。パン(pains)の前につく「petits(プチ)」は、まず「小さい」という意味の単語ですが、その他に「可愛い」「愛おしい」という愛情を表す意味としても使い、この場合は「美味しいパン」ということのようです。これは「よく売れる」「どんどん売れる」ということの表現として使います。
以前、他のワイン・ビストロ兼カーヴでバイトしている人と話していたときに、希少なワインの話になり、彼の働いているお店はそのワインの在庫をだいぶ持っているらしく、この表現で「よく売れている」と言っていました。美味しいパンのように売れるワインはやっぱり美味しいということでしょうね
そして、パンとワインなんて合わさったら、うーん、やっぱりキリスト教がベースにある国なんだなあ…という感じがします。パンはキリストの肉、ワインはキリストの血。

また、「ça se boit comme du petit lait」という表現もあります。こちらは「美味しい牛乳のように飲める」という表現で、「たやすく飲める」「どんどん飲める」という意味。
あるとき、一緒にテイスティングしていたお客さんが「あーこれは美味しい牛乳みたいに飲めるねー」という感想を言って、なんだか可笑しかったのですが、軽くて飲みやすく、まさにそういうワインでした。かといって朝食と一緒に飲むわけにもいかないでしょうが…。

ワインなのにパンに例えられたり牛乳に比べられたり…。
面白い。



ちなみに最近、うちのお店で「美味しいパンのようによく売れ」て「美味しい牛乳のようにするする飲める」オススメのワインは、マルセル・ジュベール「ボジョレ・ヴィラージュ、キュヴェ・ア・ランシエンヌ」(2011年)。

Marcel Joubert "Beaujolais-Villages Cuvée à l'Ancienne" 2011

無濾過でSO2無添加。とても軽くて、この暑い季節、少し冷やして飲むのもよし。
正直言ってボジョレは苦手(よくわからない)な私ですが、これは素直に美味しかったです。