2013年9月24日火曜日

今日のワイン : Pierre Beauger "V.I.T.R.I.O.L. extra" 2005

土曜日の午後、お客さんの流れがちょっと区切れたところで店主が「何か飲もう」と誘ってくれました。わーい、何を飲ませてくれるのかな〜?とちょっぴりわくわくした直後、「好きなのを選んで良いよ」と。こう言われると、テイスティングしてない新着ワインがたくさんあるので迷うのですが、つづいて「地下カーヴへ行って、どれでも良いから一本取ってきて。任せるよ」……って、えーーーっ、ホントに良いのーー??そんなこと言ったら、何を取ってくるかわかりませんよ?と思いつつ、ついつい顔がほころんでしまいました。地下には店主秘蔵のワインもあるのです。
本当は、すぐさま頭に浮かんだのはピエール・ボジェの「ジョウニ・ロットン」(フランス語読みだと「ジョウニ・ロッテン」)だったのですが、一度テイスティングしたことがあったし、値段を知っているので遠慮しましたw
他にはどんなものがあったっけな〜♪と、カーヴへの階段を下りながら、どうしても勝手にひとりでに口元がニヤニヤとゆるんでしまう…。
飲んでみたいものはいっぱいあったし、数が残り少ないものは店主に悪いかなあ…などと迷ったのですが、結局コレ。
ピエール・ボジェの「ヴィトリオル」2005年。
噂には聞いていたけれど、赤ということすら知らなかったー。あはは。
オーヴェルニュのガメイ。
店主によると、2005年は亜硫酸がちょっとだけ添加されているとのこと。
栓は王冠です。

「vitriol」とはフランス語で「辛辣な言葉」「毒舌」という意味。第一義は「濃硫酸」らしいですが。
でもよく見ると「Visita Interiora Terrae Rectificando Invenies Operae Lapide」の略ということになっているみたい。このフランス語訳は「Descendre dans les entailles de la terre, en distillant tu trouveras la pierre de l'oeuvre」と表記されていて…って、面倒くさい解説はここまでにしときます。あんまり意味ナイと思うので。

開けたては、少し炭酸ガスがあってワイン自体は若干閉じてる感じ。でも酸のきれいな赤い果実の味。ちょっと時間がたってから昆布出汁のような旨味とミネラル。その後、ヴァニラっぽさが出てきました。短時間でくるくると変わっていくのが面白い。しかし、うーん、やっぱりSO2のせい?なんとなく頑ななところがあるような…。ある一定のところから変化が止まってしまったようでした。ゆっくり時間をかけて楽しみたかったけど、時間もなかったので急いで数人で分けて、あっという間に瓶を空けてしまったのが残念。やはりこういうのは、独り占めしてじっくり味わう方が良いのかな…。でも、自分じゃなかなか買えないから、こういう機会にあやかれて良かったー。ワイン屋の役得かな?

2013年9月18日水曜日

今日のワイン : La grange aux belles "Pink Fluid" 2011

「今日の…」ではなく、8月のヴァカンス中に飲んだロゼワイン。

ラ・グランジュ・オ・ベルの「ピンク・フルイド」2011年。
名前買いですw
ラ・グランジュ・オ・ベルは、うちのお店でも色々なキュヴェをコンスタントに扱っているのですが、個人的にはあまり飲んだことがありませんでした。ただ、キュヴェ名やラベルのわりには、着実なものを造るタイプの生産者、というイメージ。
今回のロゼはブルターニュのワイン屋で見かけて買ってみました。
たしかカベルネ・フラン100%。
フローラルで甘みもあり、アルコール度は低くて(11.5%)、とっても飲みやすい。サイケデリックな味わいとは思わないけど、フラワーパワーな雰囲気の真夏の野外ミュージックフェスには似合うかも。
ちなみに、草木の間の猫の額ほどの砂浜で、傾く夕日と海を眺めながら飲みました。難しいこと考えずに、シンプルにナチュラルに楽しむのにぴったりでした。

こんな感じ?
…いや、ちょっと違うかなw

Poires au vin : 洋梨の赤ワインコンポート

8月中旬から9月初旬までヴァカンスにでていたため、すっかり更新が滞ってしまいました!

ヴァカンス中はフランス北西部のブルターニュ地方で田舎暮らしをしていました。天候が不安定な地域なので、「雨でやることがない日にでもブログをやろうかな」と思っていましたが、今年は素晴らしく晴れた日が続き、結局、連日夏を満喫していました。
3日ほど前にパリに戻ってきたのですが、もうすっかり秋の気配が色濃くなっていますね。雨が降って寒いくらいです。

さて、夏休みの間に、近くに住む知人が「うちの庭でいっぱいとれたので」と洋梨をおすそわけしてくれました。
かための梨で、どちらかというと調理に向いているとのこと。その知人が洋梨の赤ワインコンポートを作ってご馳走してくれたので、私もうちに帰ってから真似して作ってみました。
レシピはインターネットでいつくか見て、なんとなく良さそうだったのを参照。日本語訳してのせておきます。

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Poires au vin (洋梨の赤ワインコンポート)

洋梨 4個
赤ワイン 400ml
砂糖 大さじ3(40g)
グローブ(丁字) 2つ
粒こしょう 4個
シナモンの皮 1かけ
バニラビーンズ 1房分
オレンジの皮 1かけ

1.洋梨を半分、または4等分に分け、種と芯の部分をとる。
2.大きめの鍋にワイン、砂糖、その他のスパイスすべてを入れて煮立たせる。そこへ洋梨を入れ、弱火にして約15分煮る。煮くずれないように注意。
3.洋梨を静かに取り出し、器に盛る。
4.煮汁を濾し、さらに火にかけ、好みの濃さまで煮詰めてシロップを作り、洋梨にかける。
5.1時間ほど冷ましてからいただく。好みで、ミントの葉を飾ったり、クレーム・ド・カシス(カシスのリキュール)をかけてもよい。
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とっても簡単。
私はキッチンにあるものだけで作ったので、オレンジの皮を入れなかったり、バニラビーンズの代わりにバニラシュガーを使って砂糖の量を減らしたり、適当にアレンジしました。いい加減に作っても全然大丈夫なお手軽デザートです。

ただ、こういうシンプルなデザートで、しかもワインが大きな役割を担っているとなると、使うワインによって味がだいぶ左右されると思います。レシピにはボジョレがよいとされていて、他のレシピでもブルゴーニュがすすめられていましたが、調理に使うと酸味が引き立ってしまうような気がします。もちろん、人それぞれの好みにもよりますが…。
私は二回作ってみて、それぞれ違うワインを使ったら、やはり仕上がり(味)に違いが出ました。
最初は南ローヌのシラーとグルナッシュ主体の濃いめのワインを使いました。タンニンはそこそこあるものの過度でなく、熟した果実の風味がたっぷりとあって、シロップもふくよかな味わいになりました。スパイスに合っていたし、まだ熟し切っていない若い洋梨をしっかりサポートしてくれました。
二回目はルシヨン地方のカリニャン種のワイン。
ビオ・コープ(有機食材の生協)で購入。
…って、これ、京都のバーで飲みました…。
ベーシックなワインとはいえ、日本で買うとそこそこ高いのに、料理用に使える贅沢。
タンニンはきつくなく、さわやかなフルーティさがワインを軽くしてくれています。でも火を通したら思ったよりも酸味が出てて、わりとさっぱりした感じのシロップになりました。ちょっとお砂糖の量が少なかったせいもあるかな…。
個人的には最初のワインで作ったコンポートの方が好みでした。

クレーム・ド・カシスもミントの葉もうちになかったので省略。
代わりというわけではないですが、生クリームを添えました。この生クリームと赤ワインシロップのハーモニーが美味しいのです〜。
うーん、でもやっぱりミントの葉があったらよかったかなあー。

これから秋の終わりまで梨が出回るので、こんなデザートもいかがでしょうか。