2012年12月31日月曜日

年の暮れ、飲んだものいろいろ

年の瀬もおしせまり、クリスマス休暇前に、色々と入荷して試飲したり、配達にきた生産者さんが試飲させてくれたり、また、自身のワインでなくても一緒に飲んでくれたり、はたまたパリに遊びに来たついででお店に寄ってくれた生産者さんと一緒に飲んだり、そこへ店主の友達や常連のお客さんが加わって飲んだり…と、お店で飲む機会がいつもより多かったなあ…という12月。
色々飲んだものの覚え書きです。

まずはClaude Courtois "Racines" 2007(クロード・クルトワ「ラシーヌ」2007年)。
ワイン生産地域としては無名のソローニュで自然派ワインをつくってきたクロード・クルトワ。彼の最も有名なキュヴェがこの「ラシーヌ」。品種は数種類ブレンドされていて、えーと、ちゃんと覚えてない…。赤です。
2007年は、わりと軽く、エレガントさがそなわっている感じ。鳥系ジビエの料理に合いそう。
開けた翌日、ちょっと残っていたので味見してみたら、まだ飲めるし、胡椒っぽいスパイシーさが強調されて、もう少しタンニンがしっかり出てきていました。抜栓してからゆっくり時間をかけて飲むと楽しいかも。

もう一本、Claude Courtois "Evidence" 2007(クロード・クルトワ「エヴィダンス」2007年)。
こちらはかなり熟したぶどうでつくられた白ワインで、どっしり、でもフルーティ。すっごく甘いのかな?と思ったらそういうわけでもない。小さい瓶なのですぐなくなってしまう〜。このままで飲めてしまいますし、香りの強いチーズなどにも合いそう。

クロードが配達に来たとき、うちの店主とランチの約束をしていたらしく、私もご一緒させてもらいました。
近所のビストロで、シェフもクロードと仲良しなので「これはどう?」「こっちは?」と次々秘蔵ワインを出してきてくれたのですが、全員を納得させられそうなものに当たらず…結局、あれでもないこれでもないとやって、みんなが「美味しい!」となったのがこちら。
Jean-Yves Péron "Vers la Maison Rouge" 2007(ジャン=イヴ・ペロン「ヴェール・メゾン・ルージュ」2007年)。
私の大好きなやつ!店主がワインリストを見ていてこれに目をとめたとき、内心「それだ、それ〜!それ注文して〜!」と念じていました。
お店にまだ2008年の在庫があって、夏休み前に飲んでその美味しさに感動ものだったのですが(というか、自分の好みに合うという話で、他の人が美味しいと感じるかはわかりませんが)、ミネラルな味わいはほぼ同じながら、2007年はもっとさらっとしていて少し軽め。私は2008年の方が好みかなあと感じましたが、店主は2007年の方がすっきりしていて良いとの意見。

別の日、お友達に待ち合わせ場所に指定されたとかでご来店された日本人女性とお話ししていたら、なんとオーヴェルニュでワインをつくっていらっしゃる方でした。
生産数が非常に少ないため、もうほとんど手元に残っていないそうですが、 そんな数少ない在庫の中からお友達とランチに飲もうと思って持ってこられた一本を、なんと飲ませてくれちゃいました!
Mito Inoue "Mito-logie" 2011(ミト・イノウエ「ミト・ロジー」2011年)。
ガメイ100%の赤ワイン。オーヴェルニュのガメイというと、旧火山地帯でミネラルいっぱいという先入観があったのですが、こちらはミネラルよりも果実味が出ていて、小粒なレッド・フルーツのようなきれいな酸、それでいてまるみもあり。清らかで美しいワインでした。

同じ日に、たまたま別の生産者さんがお友達と店主を訪ねて遊びにきていて、生産者同士偶然の再会…から、店の奥で飲み会に発展。しかも、パリ在住のお友達がわざわざ自分のカーヴにワインを探しに行って、閉店後に飲み会が続いたのでした。
その人が持ってきてくれたのが、Jean-Marc Brignot "La Combe"(ジャン=マルク・ブリニョ「ラ・コンブ」)。ヴィンテージは…うう、わからないっ。
品種は多分サヴァニアン。ジュラ地方独特のイエロー・ワインに通じる辛口白ワイン。
ジャン=マルク・ブリニョはジュラでのワイン造りをやめて日本に行ってしまったそうだけど、今後また彼のワインが飲める機会があるかなあ…。在庫のあるものはめちゃ高くて手が出ないし☆

さて、こちらはスペースの関係でまだ店頭に出ていない、味見で開けたNicolas Carmarans "L'olto" 2011(ニコラ・カルマラン「ロルト」2011年)。
ワイン生産地としての区分でいうとフランス南西部、その中でも東よりのアヴェロンという地域のワインです。フェール・サルヴァドゥールという品種。
この地域のワイン、特にこのローカル品種はマイナーなのですが、私は結構好きです。一緒にこれを飲んだ人が「カベルネ・フラン?」と言っていましたが、私も最初、この品種のことを知らなかったときはそう思いました。カベルネ・フラン特有のピーマンのような、胡椒がかったような香りがします。造り手やテロワールによって違うと思うので、一概には言えませんが、フェール・サルヴァドールの方がカベルネ・フランよりもタンニンが少ない印象があります。
このワインは、甘みも感じられつつ酸がしっかりあってバランス良い味わい。
日本で言えば「へのへのもへじ」みたいなラベルが可愛い!

もう一本、飲み会状態になったとき、ある生産者さんと一部で有名なワインの話になり、それへのオマージュとして「これ飲もう!」と、お店のワインを買って開けてくれたのがこれ。
Audrey et Christian Binner "Pinot Noir" 2010(オードリー・エ・クリスチャン・ビネール「ピノ・ノワール」2010年)。
ピノ・ノワールといえば多くはブルゴーニュなので価格が跳ね上がるし、美味しいピノ・ノワールのワインにめぐりあったことの少ない私にとっては、このアルザス・ワインに大変惹かれました。で、早速一本自分で買いました。
軽めだけど、ミネラルがありダシのような味わい深さがあるワイン。ガラス栓で、日本酒の栓みたいに、開けたあともフタできるのが便利。で、飲みきらなくて栓をして翌日までおいておきましたが、翌日もバッチリおいしかったです。
また飲みたいなーと思ったけれど、残念ながらこれがうちのお店で最後の一本だったみたい。もっと早く知っていればよかった…。

というわけで、いろいろ飲めて、なかなか幸運な年の暮れでした。
来年も素敵なワインにたくさん出会えると良いな。

みなさんも良いお年を!

2012年12月25日火曜日

クリスマス・イヴのディナー、甘口ワインとシャンパーニュ

フランスでは、12月も半ばを過ぎると、いよいよ本格的にクリスマスの準備が始まります。街中のところどころにイルミネーションが飾られ、窓際にサンタの人形などをデコレーションしているアパートもたくさんあって、クリスマスを待つ楽しい雰囲気いっぱい。

フランスは元来カトリックの国なので、クリスマス(フランス語では「ノエル」)は大事なイベント。クリスマス・イヴのディナーには集まった家族でテーブルを囲みます。
私はフランス人家庭のイヴのディナーに招待されたことがないのですが(今までクリスマス時期は仕事を休めず、夫の実家まで行けたためしがない)、一般的には、前菜に生牡蠣やスモーク・サーモン、またはフォワ・グラなど、メインには去勢していない大きな雄鶏やホロホロ鳥などの鳥系ロースト、その後にチーズ、デザートにビュッシュ・ド・ノエル…というのが定番コースのようです。

そして、そんな特別ディナーにはコースのそれぞれに合ったワインを一種類ずつ選びます。
お店でワインをおすすめするとき、食事の内容をお伺いしてそれに合うものを選ぶのですが、クリスマス前は、イヴのディナー用に普段とちょっと違ったワインをお求めになられることが多いので、こちらにとってもなかなか面白い時期です。

特に、普段はおすすめすることが少ないのにこの時期によく出るのが、甘口ワイン。

王道として、フォワ・グラには白の甘口ワインと言われています。中でもボルドーの貴腐ワイン、ソーテルヌが有名ですが、その他にはジュランソンやアルザス地方のヴァンダンジュ・タルデイヴ(遅摘みの超ブドウで作られる甘口ワイン)、ヴァン・ドゥー・ナチュレル(ワイン醸造中に度数の高いアルコールを投入して発酵を途中で止め、ブドウの糖分を残した甘口ワイン)や香り高いミュスカなどもあります。
でも、「甘いワインは嫌いだから、辛口でフォワ・グラに合うものが欲しい」と言う人も結構います。赤だったら、タンニンがたっぷりのフランス南西地方の濃いワイン(マディランやカオール)を合わせるのも良いでしょう。

また、デザートにもやはり甘口ワイン。特にチョコレート系のデザートは、カカオの渋みもあるので、赤の甘口ワインがおすすめです。赤の甘口ワインは種類が限られてしまいますが、フランスでは、ルシヨン地方のスペイン国境に近いバニュルス、リヴサルト、モリー、南ローヌ地方のラストーといった地域のものがあります。

そして、やはり欠かせないのがシャンパーニュ。「お祝いごと=シャンパーニュ」というイメージがありますが、やはり泡ものは「はじける気分」にぴったりというか、華やかな雰囲気を添え、気分が盛り上がりますよね。

うちのお店にも、クリスマスと年越しのパーティーに向け、シャンパーニュがたくさん入荷しました。
小規模生産者のコント・ユーグ・ド・ラ・ブルドネのシャンパーニュも、通常はお店においていない上級キュヴェやマグナム(1,5リットルの大瓶)が入荷。生産者さん自ら配達にこられ、特別キュヴェのブラン・ド・ノワールを飲ませてくれました!


ブラン・ド・ノワールとは、赤品種のブドウ(ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ)からつくられたシャンパーニュのこと。対してブラン・ド・ブランとは、白品種(シャルドネ)だけでつくられたものです。
そして、これはノン・ドゼ。大部分のシャンパーニュでは、最後にリキュールを加えて酸っぱさを調整しますが、ノン・ドゼとはそのリキュールを加えていないものです。なので、後口もさっぱりすっきりした仕上がり。

試飲を始めたところにたまたま店主の友達が何人か来店し、わいわいとミニ宴会状態となり、生産者さんがもう一本、グランド・レゼルヴも開けてくれました!

飲み比べてみると面白い。

「シャンパーニュ」と一口に言っても、ピンからキリまであり、多種多様。
私は特別にシャンパーニュが好きというわけではなく…というか、逆に、リキュールを加えたものは後味がべたつくことがあり、シャンパーニュはあまり好きではありません。(値段のことは言わずもがな…。)
でも、リキュールを加えたり加えなかったり、ヴィンテージの違うワインをブレンドしたり…と作り方が特殊なシャンパーニュ、なかなか奥が深いのかもしれません。

2012年12月13日木曜日

今日のワイン:Frédéric Rivaton "Rage Against the Machine" 2011

先頃入荷して気になっていたワイン。
ルシヨン地方ラトゥール・ド・フランスのフレデリック・リヴァトン「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」2011年。
品種はマカブーと…あと不明。

うーん、同名のバンドがありますね。10年以上前にCDを買ったことがあるのを思い出しました。当時はあまり内容を気にせず(英語わからないし)、音だけ聞いて購入したのですが、リヴァトンのワインの名前を見てはっとした。
そーか、そうなのだ、we have a rage against the machine!

でも、店主と試飲してみたら、今はちょっとバランスがいまいちなので、しばらくお蔵入りです…。
It is not on sale for the moment in our shop.

2012年12月11日火曜日

今日のワイン:Le Temps des cerises (Axel Prüfer) "La peur du rouge" 2011

「今日のワイン」というか、最近気に入っているワイン。

ルシヨン地方の生産者、アクセル・プリュフェールの「ラ・プール・ドュ・ルージュ」2011年。泡ものです。
シャルドネ100%。最初はビールっぽい穀物系の辛口な印象なのですが、ワイン自体にはまるみもあります。そして、うーん、ミネラル感のせいなのかな、ものすごーく後を引く(やめられなくなる)のです!

2011年は、このスパークリングにまわした分と、同じ名前でスティルにまわした分があります。
…って、この写真では、瓶の色が違うだけで、
あんまり内容の違いがわかりませんね…。
こちらはだいぶ甘みを感じます。発泡しなかった分、糖分が残っているのかな。

さて、余談。
ドメーヌ名は「ル・タン・デ・スリーズ」といいますが、同名のシャンソンがあるので、なんとなく聞いたことがあるという人もいるかもしれません。日本語タイトルだと「さくらんぼの実る頃」。宮崎駿監督の映画「紅の豚」の中で加藤登紀子さんが歌っています。もとは恋心の歌ですが、パリ・コミューンの時代に弾圧批判として市民の間でよく歌われたのだそうです。(「血の一週間」と呼ばれる特に弾圧のひどかった時期がさくらんぼの実る頃であったこと、歌詞に「開いた傷口」「血」に「落ちる」「さくらんぼ」の「思い出」など弾圧を彷彿とさせる部分があったことなどがその理由だそうです。)
そして、このドメーヌのワインの名前、なにげに政治色が表れている?今回の「ラ・プール・ドュ・ルージュ」とは「赤への恐れ」という意味で、なるほど白ワインなわけですが、冷戦時代の「赤狩り」の意味でもあります。その他、赤ワインで「アヴァンティ・ポポロ(Avanti Popolo)」というのもあって(これもおいしいです)、これは「民衆よ、前へ」という意味で、「赤旗」というイタリア語の革命の歌の最初に出てくる言葉のようです。
生産者のアクセル・ピリュフェールとは、じっくりお話したことはありませんが、試飲会で会った感じでは、わりとおっとりとした雰囲気の人だったので、改めてワインの名前のことを考えると、意外な感じ…。でもそういう気概のある人なのでしょう。私はそういう人、好きです。ワインも、今年テイスティングしたものは個人的には全部好きでした。お気に入りドメーヌがまたひとつ増えました。

2012年12月7日金曜日

今日のワイン:Cathy et Jean-Luc Gauthier "Biojô Nouvo 2009"

話題が遅れてるなと思いつつも、ボジョレ・ヌーヴォー続きで。

地下倉庫に置いてあって「なんだろー、売り逃したのかなー」とこわごわ触らずにいた2009年(3年前!)のボジョレ・ヌーヴォー。今年の5月か6月くらいに、店主が一度開けてみて、香りをとったらむせたので「?」と思いつつ笑ってしまった。でも、実際、私もむせました…。炭酸ガスが鼻から入ってしまってね。この炭酸ガスは再発酵からきたものではないかと思うのですが、まだまだフレッシュな果実味も残っていて、なんだか特異なボジョレ・ヌーヴォーであることに間違いなし。

そして、その試飲後、売り場に出なかったのでどうするのかと思っていたら、つい先日、店主が「2本だけ店頭販売する」と地下から出して来ました。「お客様にはカラフするように言って」と注意を促されました。まあ、それは当然ですかね。あれだけ炭酸ガスがあればね…。

これ、実は、先日飲んだエリーズ・ブリニョのお兄さん、ジャン=マルク・ブリニョがワイン造りを担当したらしい。
ジャン=マルク・ブリニョのファンの夫に「興味ある?」と聞いてみたら「もちろん!」と即買い。

店主によると、リリース当時は非常に還元的な状態(酸化の反対で、酸素とのコンタクトからほど遠い状況、それにより独特な香りがよく出てくる)で簡単には飲めたものではなかったそう。
それで一旦お蔵入りだったのかーと納得。

今でもワイン自体はかなりの炭酸ガスに保存されている状態。抜栓直後は、多少アグレッシブな雰囲気さえありました。多分残っていた糖分をもとに再発酵したと思われ、かなり辛口。でも、段々とひらいてくると、小粒な赤い果実の風味もあって、タンニンもしっかりあって、嫌いじゃない。っていうか、美味しい。凛とした酸も一貫していて。
でもやっぱりどこか不思議なワイン。個性的とはこういうことなのでしょうか。

で、結局、2本目も購入。
って、日の目をみた2本の2本とも、私が買ってしまった…。
店主にはわざわざ言ってないけど、言ったら笑われるだろうな〜。いや、もしかしたら「あーそうなんだ、わかる」と納得されるかも?

できれば、もう一回飲んでみたい!

2012年11月30日金曜日

ボジョレ・ヌーヴォー2012

もう12月に突入してしまいますが、11月の一大イベント、ボジョレ・ヌーヴォーのことを。

毎年、11月第3木曜日にボジョレ・ヌーヴォーが解禁になります。
ずーっと昔、ワインに興味がなかった頃、「解禁」ということは、それまで「禁じられている」わけだから、誰も飲んだことがないものだろう…と漠然と思っていましたが、プロの人たちはそのずっと前に試飲しています(ちょっと考えれば当たり前のことですが…)。うちのお店では、10月末頃に生産者さんが何人かサンプルを持ってきて、店主が試飲したようです。そのなかで今年入荷したのは二種類だけでした。去年、さんざん注文しまくってあり余ったことに懲りたのかも…?

お店に入荷したのは、今回新たにコンタクトのあったレミ・デュフェートルという生産者のものと、去年もヌーヴォーの取り扱いがあったフランス・ゴンザルヴェスという女性の生産者のもの。

実はフランス・ゴンザルヴェスの去年のヌーヴォー、お店にまだ在庫があるのです…。そこで、「良い機会」と、飲み比べてみました。
左が2011年、右が2012年。ほぼ同じラベルです。
イラストの中の飛んでる瓶に、小さくヴィンテージが記入されています。
去年の方が、少し丸みがありました。今年のは、もっと軽くてフルーティ。

ボジョレと同時に、フランス南西部ルシヨン地方の新酒も入荷しました。
フラール・ルージュ(ジャン=フランソワ・ニック)の「オクトーブル」と、ドメーヌ・レオニン(ステファン・モラン)の「ケ・パサ?」。どちらも同生産者から毎年新酒として出てくるキュヴェ。前者は、タンニンがいつもより少し強め、骨太な新酒。後者はフルーティで、マセラシオン・カーボニック特有のさわやかな香り。どちらもやっぱり若いので、カラフに移して開かせてあげると美味しいです。

さて、解禁前日の水曜の夜、またまたケヴィンのビストロ「オトゥール・ダン・ヴェール」にお邪魔して、すっかり長居をしてしまって零時が過ぎ、「じゃ、飲もうかー」と、その場にいた人たちで今年のボジョレ・ヌーヴォーを開けました。ケヴィンのところには、ラファエル・シャンピエという生産者のものもあり、みんなで3種類を飲み比べました。個人的には、フランス・ゴンザルヴェスのヌーヴォーが果実味があって少し甘みも感じ、一番良かったです。

そして、翌週の火曜、お稽古仲間(太極拳をやっています)でレッスン後にボジョレ・ヌーヴォー大会。私は先生に頼まれてフランス・ゴンザルヴェスのヌーヴォーと、乾燥ソーセージ、パテを担当。その他、それぞれがチーズやパンなどを持ち寄り、いかにも「ボジョレ」らしい楽しいひとときを過ごしました。

社交辞令かどうかわかりませんが、「このボジョレ・ヌーヴォー、おいしいね!」とみんなに言われました。

「ボジョレ・ヌーヴォーは不味い」と公言してはばからないフランス人が多いのですが、なんとなくフランス人らしいあまのじゃく的な態度でそう言っているような気もしつつ、そういう人たちは美味しいボジョレ・ヌーヴォーを求めていないのではないか…と思ってしまいます。もちろん、ひとそれぞれ好みというものがあるので一概には言えません。でも、個性の違うボジョレ・ヌーヴォーたちをひとつのカテゴリーにくくって「不味い」と一刀両断するのは了見が狭いなあ…とつい不満に思ってしまうワイン屋なのでした。

2012年11月18日日曜日

今日のワイン:Audrey et Christian Binner "Riesling, ça gazouille!!" 2009


11月の第三木曜日、ボジョレ・ヌーヴォーが解禁になりました…が、今回はその前の週に飲んだアルザスワインについて。

以前、お店で瓶詰めをするので樽を運び込んだとき、手伝ってくれた人たちに店主がお礼で一杯ふるまったワインが美味しくて、また飲みたいなと思っていたのでした。
それが、アルザス地方、ビネールという生産者のリースリング「サ・ガズイユ」2009年。

アルザスワインは一品種のみでつくるのがほとんどで、ラベルに品種名を明記するのが慣例です。(例外で、数品種をブレンドした「Edelzwiker エーデルツヴィッカー」があります。)今回のワインの「リースリング」は品種名。そして「サ・ガズイユ」という名前がついていますが、ガズイユの原形、ガズイエ(gazouiller)は「つぶやく、さえずる」という意味で、英語にすると「it tweet」みたいな感じでしょうか。でもワインについてだと「炭酸ガスがある」という意味合いで使います。
なので、かなり炭酸ガスがあるのかな?と思って開けてみましたが、ほとんど感じませんでした。

しかし!
おそろしく美味しい!!

ふくよかなぶどうそのもののジューシーさとすっきりした酸。ミネラルがあり、そしてとても香りが高い。
アルザスワインはだいたいにおいて香りが強いのが特徴ですが、リースリングはその中でもおとなしめな印象がありました。たしかにゲヴェルツトラミネールとかピノ・グリのような、ものすごく独特なアロマというわけではないのですが、これはやっぱり香りが高くて「アルザスワインってこうなんだな〜」と実感。

これで12ユーロ(当店価格)は安い!(今のレートで日本円に換算すると1200〜1300円でしょうか。)

残念ながら、お店ではどうやらこれが最後の一本だったよう。
っていうか、私は2本しか見てないんだけど…?またどっかから発掘されたものだったのかな…??

2012年11月6日火曜日

今日のワイン:Elise Brignot "Format Raisin 2ème mise" 2006

地下カーヴの拡張工事の後、店主が奥にしまいこまれていたワインのストックの整理を始め、発掘された在庫がいくつか出てきました。寝かしておいて方がよさそうなものもあったのでしょうが、もしかしたら自分や常連さんだけにとっておきたいワインもあったのかもしれません。(寝かしておいて、そのまま忘れていたものもありそうですが…。)そんな発掘ワインに好奇心を存分あおらています。
で、そのひとつがこれ。
エリーズ・ブリニョの「フォルマ・レザン」。

エリーズ・ブリニョは、初ヴィンテージのリリース直後から一部で一躍有名になりましたが、何年か前にワイン造りをやめてしまったらしい。子供ができたから…という噂ですが。

ちなみに、「フォルマ・レザン」とは、フランス式の紙の大きさ規定のひとつだそうです。夫が美術学校時代、よくフォルマ・レザンを指定されたと言っていました。美術学生にとっての典型的な大きさらしいです。

さて、品種はシュナンとシャルドネ(多分)。
栓はコルクではなく、王冠でした。王冠だと、よく「発泡ワインなの?」と聞かれますが、瓶詰めしたときに炭酸ガスが残っていたり、残糖があって再発酵する(そうすると炭酸ガスが発生する)可能性などがあると、生産者によってはコルク栓ではなく王冠にすることがあります。

「2ème mise」というのは、二回目の瓶詰めという意味。瓶詰めのタイミングによってワインも味が違ったりしますので、この辺を明記してくれているとワイン屋としてはわかりやすくてありがたいです。
といっても、このワインの初回瓶詰めの在庫はお店にないので、簡単には飲み比べられません…。残念。

グラスに注いでみると、表面のディスクと呼ばれる部分がとても厚く、見るからに濃厚そうな印象。ところが、口に含んでみると、酸が際立って、意外や重たく感じません。でもやっぱりまろやかさが後ろに控えている。後口には甘みが残りますが、ベタつく嫌味がなく、心地よい甘さ。そして余韻もとっても長い!!うーん、美味しいじゃない、これ〜!?

しかし、エリーズのお兄さん、ジャン=マルクもワインを造っていて彼のワインは大好きなのですが、きょうだい仲が悪いらしいので、エリーズのワインを賞賛するのはなんとなく後ろめたい…。まあ別に向こうは知ったことではないでしょうが…。

抜栓後、瓶をあけたままで2時間くらいおいていたら、酸素にふれて、だいぶビネガーっぽくなってしまいました。結構デリケート。まあ6年経ってますからね。でもまだ1年くらいキープしておけそう?

2012年11月4日日曜日

今日のワイン:P-U-R "Château Gonflable" 2011

ストックを置いているお店の地下カーブがちょっと広くなり、店内の段ボールも少しずつ片付いて、お客さんにも「うわっ、整頓されてるね〜、どうしたの?」と驚かれる今日この頃。(ってか、以前ってそんなに散らかってたのか…?)夏の間は入荷が少なく、売れた分だけ在庫が減ったせいもあるのでしょう。まあ、それでも段ボールだらけなんですけどね。
「やっとそれなりに店内スペースが確保できてきたなあ」と安心できるのも今のうち、そろそろ各生産者から大量に荷物が届く季節です。そして、新しいワインがくると「どんな味なのかな〜」とわくわくしてしまいます。

今日のワインも、新着の中で気になっていたもの。
P-U-Rの「シャトー・ゴンフラーブル」。
もともとボジョレで自分のブドウからワインをつくっていたシリル・アロンゾがネゴシアン(ブドウ、またはワインを他生産者から買い、瓶詰めして自分の名前で売る形態)でやっているのがP-U-R。ちなみにP-U-Rとは「Production Unique Rebelle」(「反抗的で独自的なプロダクション」とでも訳しましょうか)の略らしい。また、purという語はフランス語で「純粋な」(英語のpureに相当)という意味。
この夏、休暇先のブルターニュで飲んだP-U-Rの「ヴァン・ド・ターブル」というのをすこぶる気に入ったので、このネゴシアンのワインにちょっと興味がわいていました。
しかも、このジョークめいっぱいのラベル!

いやね、駄洒落やジョークを説明するほど野暮なことはないとは思うのですが、以下、一応解説しておきます。
「シャトー」といえば、誰もがボルドーワインを思い浮かべ、なんとなく権威あるイメージを抱いているかと思いますが、「シャトー・ゴンフラーブル」とは、空気を入れてふくらませる、お城の形をした子供用の遊具です(例えばこんなの)。
そして「グラン・キュ・グラッセ」というナンセンスな一文入り。これは、ボルドー地方でシャトーの格付けを意味する「グラン・クリュ・クラッセ」を文字っていて、強いて訳せば「凍った偉大なるQ」とか…。っていうか、「キュ」を同じ発音の「cul」(お尻の意味)にしないだけでも良かった…。(でも音読みしたらフランス人にとってはやっぱり「冷たい大きなお尻」だろうなあ。)
瓶の形もボルドー風で、完全にボルドーワインをからかっている様子。揶揄の対象となっているのは、ボルドーワインそのものか、ボルドーワインばかり求める消費者か、ボルドーワイン的な味に画一化されるワイン界か…きっとボルドーワインに象徴されるそういったものすべてなのだと思いますが。
って、いやいや、もしかしたら、そんな深い意味はなく、ただ遊び心でつくったのかもしれません。

さてしかし、中身もボルドー風だったらどうしよう?(ボルドーは好きではないので)とちょっぴり不安を抱きつつ抜栓。
香りをとってみようとグラスに近づいてみたら…うわっ、これアルコール強いでしょ!?って、ラベルを確認してみると、なんと15度!(ワインは、だいたいにおいて11.5度から13.5度が普通です。)ちょっとおいてみた方が良いかな?ということで、いったん栓をし、アペリティフをとって、約2時間後にもう一度あけてみました。今度はだいぶ開いた感じで飲みやすい。
たしかにいちごジャム系の果実味は濃く、タンニンもしっかりあるはずなのですが、アルコールがまるみを出しているせいか渋くなく、酸味も控えめながら、どこかすっと入ってくるような軽さもあります。個人的には普段あまり重めのワインは飲まないのですが、好みでないタイプながらも、これは美味しく感じました。
夫いわく「イタリアワインみたい」。私はイタリアワインにはてんで疎く(白状しますと、ワイン学校でのイタリアワインの講義の間、隠れて別のテスト勉強していて聞いていなかった…)、イタリアのどの辺のワインのことかはよくわかりませんが、なんとなくイメージとして同感。今回、アペリティフでだいぶお腹がいっぱいになってしまったので、結局夕食はナスとパプリカのトマトソースをつけたパンとブレザオラをつまんで済ませたのですが、イタリアっぽいこの取り合わせがワインになかなか合いました。トマトソースの酸味をワインの甘みが包んでくれて、私としては目からウロコのマリアージュでした。

ちなみにブドウ品種はサンソー、マルスラン、カラドックだそうですが、後者二品種は聞いたことがありませんでした。調べてみたら、マルスランはカヴェルネ・ソーヴィニヨンとグルナッシュ・ノワールの交配種、カラドックはグルナッシュ・ノワールとコ(=マルベック)の交配種だそうです。どちらも、タンニンが多いのに苦みがなく柔らか、フルーティで色が濃いワインとなるのが特徴らしい。なるほど〜、たしかにそういうワインでした、これは。
ヴィンテージは明記されていませんが、多分2011年です。
牛肉のトマト煮込みとか、メルゲーズのクスクスなんかに合いそうです。

2012年10月31日水曜日

テイスティング3連日

10月も終わりに近づき、そろそろ試飲会シーズンの到来。ブドウの収穫も終わり、ワイン作りの最初の課程が一段落ついて、生産者さんたちもやっと少し蔵を離れることできる頃なのでしょう。新酒の出荷も控え、売り込みを始める時期でもあるのかもしれません。

というわけで、この週末はテイスティングが続きました。

まずは27日の土曜日、カーヴ・オジェにて、ラングドック地方生産者の試飲会。
この日は青空が広がって気持ちが良かったのですが、前日からぐっと気温が下がってとっても寒かった!なので、野外でのテイスティングは結構辛い…。グラスを持つ手が凍えます〜。
私は午前中にテイスティングに行き、それから出勤ということになっていたので、朝一番に到着。しかしその状況では、ワインも開けたて、気温も低い…ということで、なんだかちゃんとテイスティングできてるのかどうか「?」な気分。いつもならタンニンがしっかりしているイメージのワインも、軽くさわやかに感じられたりして。(いや、ヴィンテージが違って本当に軽くなったのかもしれませんが。)
そして、生産者さんたちも辛そうでした。スタンドの後ろから出てきて、そこらを一回り走っていたりして。ドメーヌ・ドュ・ポシーブルのロイックには「うちのほうは雪が降ったらしいんだよね」と言われ、「うっそー」と思いましたが、地方に住む友人たちからのツイートをみると、本当だったみたいです。寒い寒いと思ったら…うーん、もう冬か!?考えてみたらもうすぐ11月ですもんね。うちのお店に出勤したら、さすがに暖房をつけていました。

翌日の日曜日はシャポー・ムロンというカーヴ兼ワイン・ビストロで新酒の試飲会。(携帯を紛失したうえ、カメラを忘れたので写真はありません…ごめんなさい。)
生産者は4名のみの小さな試飲会でした。それぞれが新酒を一つか二つずつ出していて、30分ほどで終了。フラール・ルージュ(ジャン=フランソワ・ニック)、ポトロン・ミネ(ジャン=セバスチャン・ジョアン)、レオニン(ステファン・モラン)と、ルシヨン地方ばかり3蔵+南西地方のニコラ・カルマラン。やっぱり南だとブドウを摘むのも早いし、新酒をつくりやすいのでしょうね。でもステファン・モランは、「一番摘みの熟成度が他より低いブドウと短い醸造期間で、どれだけ美味しいものを造れるのかが勝負だ」と言っていました。新酒づくりは醸造家として一種の賭けなのでしょうか。
実際、ワインがどんなものに仕上がるかは100%確実にわかるものではないのでしょう。醸造家にとっては冒険の連続なのかもしれません。
上の写真は別の日に飲んだステファン・モランの「アメデ」2010年。

月曜日は、ケヴィンのビストロ、オトゥール・ダン・ヴェールにて。ここの試飲会は和気あいあいとした雰囲気で好きです。ケヴィンはもちろん、ワイン関係の知人に会ったり、土曜、日曜とすでに顔を合わせた生産者さんも多く、個人的に楽しい試飲会でした。(こちらもカメラを忘れ、試飲会の写真はありません…再びごめんなさい。)私の好きなル・マゼルのジェラルド・ウストリックやムーレシップのアラン・アリエも来ていました。
でも、定休日なのに、テーブルの配置換えをしたり、グラスを洗ったり、料理したり…スタッフの方たち、ご苦労さまです!
ちなみに、普段、開店直後の人のいないときはこんな感じです。

気まぐれに顔を出すケヴィンの愛犬、アルメルちゃん。
試飲会の日もときどき現れて、人々の間をさっそうとすり抜けていきました。
さて、今回は4月に別の場所で試飲したのと同じワインを再びテイスティングする機会となりましたが、だいぶ印象が変わっていたりして、以前のメモと見比べてみると面白い。先が読めないのというのは、まだまだ未熟な証拠ですが…。
ちらは4月の試飲会のときの、ル・マゼルのワイン。
今回再テイスティングしたのは「ミアス」だけですが、
甘みがだいぶ落ち着いて、とっても美味しくなっていました。
うちの店主もこの試飲会に来ていて、一緒にはまわりませんでしたが、後からそれぞれの印象を話し合ってみたら、同意点、相違点があって、これも勉強になります。

しかし、これだけ連続でテイスティングしたら、最後の方は歯にしみてちょっと痛くなりました。虫歯があるのかも??そして気づいたら、グラスを持つ右手の人差し指の第一関節の辺りもワインがしみて黒くなっていました…。

2012年10月15日月曜日

瓶詰めイベント

店主が友人と共同で樽ごとワインを購入したとのことで、お店で瓶詰めしよう!ということになりました。

ワインは、ボンヌゾーというロワール地方で造られたもの。この地域のアペラシオンを名乗るのが認められているのは、白の極甘口ワインのみ。今回のはアペラシオンなしですが、果皮にカビがついて糖分が凝縮されたブドウからつくられる貴腐ワインです。セバスチャン・ガンデュベールという生産者で、ブドウはオーガニック栽培、醸造過程で酸化防止剤無添加の自然派ワイン。

そして樽は容量225リットル。樽だけでもなかなか重そうですが、それだけのワインが入っているとものすごーく重そう。瓶詰めイベントに先駆けること一週間ほど前に樽が運び込まれたとき、男性6人がかりで車から下ろしていて、かなり大変そうでした。

というわけで、一週間ほどお店で預かっていたのですが、お客さんたちも興味津々。「瓶詰めするので来てね〜」と声をかけていましたが、日曜日の午前だったのと、当日は生憎の雨で、思ったよりも人は少なめ。でも結果、その方がよかったかも。ただでさえ段ボールが積み上げられて狭い店内に、この樽の他、瓶に栓をする機械を設置。そのうえ、次々と洗った瓶が運び込まれ、詰め終わって栓をした瓶も所狭しと並べられていき、移動困難な状態に…。
私も写真を撮りたかったのですが、なかなか良い場所に行き着けず、ちゃんとした写真が撮れなくて残念。しかも途中でバッテリーが切れちゃったし。
…というわけで、写真はブレブレだし何かよくわからない状態のものしかなくてごめんなさい。

瓶詰めを見るのは初めてだったので、面白かったです。
樽から外の容器にチューブでワインを流し込みます。容器の中で浮いている白いボールは…何なのかわかりませんでした。極甘口なので、白ワインといってもかなり濃く、琥珀に近い色。
容器に瓶をさしてワインを流し込みます。いっぱいになると自動的に注入が止まります。(重みで止まるようになっているのかな?)
その後ろで、栓をする機械が待機。
セバスチャンが、瓶内の量を微調整してコルク栓をしていきます。

さて、当日、開始予定時間は10時半でしたが、「来るのは何時でもいいよ」という店主の言葉に甘えつつ、まあ準備にやっぱり人手が要るだろうなあと思い、11時に到着。…って、着いてみたら店主しかいないし…。しかも彼も5分前に来たばっかり。生産者のセバスチャンがもう少し遅れてやって来て、それから栓をする機械を設置して、瓶を洗って…とかやっていて、本格的に瓶詰めが始まったのは結局12時近く!相変わらずの呑気チーム…。そして、徐々に人が集まり、瓶詰めが始まる頃には結構な人だかりに。でも、最初は神妙に見物していた人たちも、試飲が始まり、ずっと同じ地味な作業の繰り返しなので飽きてきて、やがて働く人たちを尻目におしゃべりに夢中。まあ和気あいあいとして、これがいつものペースなのですが。

途中、残りの量が少なくなってからワインがうまく流れ出てこず四苦八苦したりしつつ(こういうことに精通しているはずのセバスチャンは奥さんを迎えに行っていていなかった)、最後はひっくりかえして樽を空にし、約4時間かけて瓶詰め終了。お疲れさまでした〜!

この後は、ビストロでワインに合わせた食事会。私は参加しませんでしたが、フォワグラ、ポトフ、ブルーチーズ、タルト・タタンというメニューだったらしいです。瓶詰めが大幅に遅れたため、13時からの予定が16時過ぎからスタートとなり、ビストロのシェフもしびれを切らしていたことでしょう。同情…。

2012年10月7日日曜日

今日のワイン:Lilian Bauchet "Ceci n'est pas une banane (Beaujolais Nouveau 2011)"

フランスの今年のブドウ収穫もそろそろ終わる頃。もうすぐボジョレ・ヌーヴォーの季節ですね。

…って、夏休み明けの9月半ば、お店に戻ったら去年のボジョレ・ヌーヴォーが山積みになっていました。「あ、もうヌーヴォー届いたの?」と反射的に反応されたお客さんに「ええ、10ヶ月くらい前にねー」とお返事しておきました。
多分、店主があまりやらない大々的な片付けをしていたら出てきたのでしょう。本当に整理が悪い店です…。(いや、わざととっておくこともあるんですけどね。今回のは忘れていたものと思われる。)

ほとんど誰でも知っていることだと思いますが、「ヌーヴォー」とはフランス語で「新しい」という意味で、ボジョレ・ヌーヴォーはボジョレの新酒なのです。販売解禁日は11月の第3木曜日と決められており、ワイン好きでなくても「季節ものだから」と飲んでみる人も多く、この日のワイン屋はちょっとお祭りのようになります。(日本では、ボジョレ・ヌーヴォーのプールができたりすごいイベントがあって、フランスよりももっと盛り上がるようですが…。)そして一般的には、ヌーヴォーというからには新しさに意義があると考え、ほとんどの場合は遅くとも11月中に売り切ってしまいます。
でも本当は、その年のブドウの出来具合にもよりますが、ちゃんと造られたワインならヌーヴォーでもかるく1年2年はもちます。

さて、当然のことながら、長くストックしていたワインは、店主が必ず試飲してから出すかどうか決めます。なので、時期はずれに再び山積みされたボジョレ・ヌーヴォーを見て、店主に「味見したの?どうだった?」と感想を聞いてみたら、「うん、美味しいよ、機会があったら君も飲んでみるといいかもよ」との返事。

ということで飲んでみた去年のヌーヴォー。
リリアン・ボシェの「これはバナナではない」という名前のついた2011年のボジョレ・ヌーヴォーです。
ボジョレ・ヌーヴォーの典型的アロマの表現として、よく「バナナの香り」と言われるので、それを揶揄したものでしょう。そして、マグリットの「これはパイプではない」のパロディ。なかなかユーモアがきいてます。

抜栓してみたら炭酸ガスがかなりあって、時間をおけばもっと落ち着いたのでしょうが、その前に飲んでしまって…って、すいすい飲めるワインだったということですね。ちゃんと果実味とタンニンがあって、まだまだ若々しいフレッシュさが魅力的。ヌーヴォーうんぬんを抜きにして、普通にボジョレとして美味しいワインでした。

今年のボジョレの収穫量は激減だそうですが、どのような出来になるのでしょうか。ちょっぴり心配(生産者さんの苦労を考えると)、でも楽しみです。

2012年10月5日金曜日

今日のワイン:Domaine Alexandre Bain "Puilly-Fumé" 2009

昨日は仕事ではなかったのですが、お店の地下カーヴの工事をしているので様子を見に寄ってみました。たまたま営業の方が来てテイスティング会となり、そこへ店主の友達も加わって、和やかな雰囲気のまま居座り、いつの間にか接客している私。結局、閉店までお手伝い。とはいえ、閉店近くになると人もまばらで(っていうか、もともとそんなに忙しくない店だし)、店主が「コレ、飲んでみる?」って、冷蔵庫から一本出して開けてくれました。
プイイ・フュメのアレクサンドル・バン!
これを出されて断るワケがありません。

開けたては、完熟ぶどうのふくよかな甘みたっぷり、同時にミネラルも多少感じられます。私はまだよく感じ取れないのですが、店主曰く、「残念ながらSO2(二酸化硫黄)添加がわかる」とのこと。とはいえ、多量ではないはずです。ドライフルーツと南国のフルーツ(ココナッツやライム)の味わい、シナモンのようなスパイス…そして段々と、ワインを支える土台にある石のミネラルさが現れて、最初よりだいぶ甘みが抑えられてきました。時間がたつと、実はかなりミネラルで、意外としまりのあるワイン。
「アンコウのココナッツミルク煮なんか合いそう」と店主。「うんうん、でもあんまりスパイスがききすぎてない料理が良さそう」「そう、ちょっとレモングラスを加えるくらいで」…「あと、鳩の薄いパイ包みとかさあ」「うーん、それか、全然手をかけてない料理に良いかも。良質のチキンを単純に塩でグリルしてレモン汁をかけたやつとか」…なんて、二人で想像をふくらませて盛り上がりました。こういう、想像力(食欲?)を刺激されるワインって楽しい!
そして、ついつい手が止まらず…。閉店時間となったので、店主が飲みきらなかった残りをくれました。

家に着いてから、帰宅の遅い夫を待ちつつも、続きを一人で晩酌。おいしい〜、やめられない〜…と良い気分で飲んでいたのですが、帰ってきて味見した夫に「うーん、SO2が入ってるんじゃない?僕は好きじゃないな」と一蹴されてしまった…。がーん。
たしかに、SO2が入ってるなというのは、飲んでいて私にもなんとなく感じられたし、最後はかなり落ち着いておとなしい味わいになってはいたんですけれども…。
まあ、人の好みはそれぞれ違うってことの良い例でしょうか。しかし挫けずに、次、以前飲んでとても美味しかったマドモワゼルM(2009年)を奮発して買ってこようかなと思います!

2012年9月30日日曜日

今日のワイン:La petite baigneuse (Céline et Philippe Wies) "Les Loustics" 2010, Yoyo "La Tranchée" 2011

ケヴィンのお店、Autour d'un verreのソムリエ(兼サーヴィス係)のロマノが9月いっぱいで辞めるそうなので、私たちと同じく常連の友人二人と待ち合わせしてお邪魔しました。

メインに4人中3人が仔羊、1人がローストチキン。ワインはいつものようにロマノにお任せ。「ちょっと冷やした方が良いと思うので」と、瓶にかぶせるタイプのワインクーラーをつけて出してくれたのですが、それがラベル部分を隠したので、ブラインドテイスティングのようになって、「うーん、ラングドックかな」「違うと思う」「いや、確かにラングドックの品種の味がする」…などと当てっこ。
たしかにラングドックの自然派ワインの風味はあるのですが、太陽をいっぱい浴びてどっしりとした南ワインとはちょっと異なる、軽めのフルーティなワイン。
私は、実は前菜のスープの唐辛子がききすぎて、ちょっと味がわからなかった…と言い訳。ただ、マセラシオン・カーボニック特有のフルーティな香りがしたかな?というくらい。
…で、ワインクーラーをとってみたら、やっぱりラングドック地方のワインでした。それもスペイン国境に近い方のルシヨンのドメーヌ、ラ・プティット・ベニューズのレ・ルスティック。
95%グルナッシュ+5%シラー、土壌は純粋なシスト(頁岩)、北向きの畑だそうです。なるほど、ミネラル感あってフレッシュ。ロゼの仔羊に合います。
ちなみに、「仔羊」または「羊」というと「クセがある肉だから濃い赤の方が合う」と思われるかもしれませんが、仔羊は羊よりもクセが少なく、特にロゼに調理した場合は意外と繊細なので、私は若干軽めの方が合うと思います。

お腹が空いていたのでメインをさらっとたいらげ、ちょうどワインもなくなりました…が、ワイン好きのメンバー4人がこれでおさまるワケがない!
「もう一本、お願い!」とロマノにまたまたお任せ。そうしたら、「サヨナラワインで僕のプレゼントです」と、またまたワインクーラー付きで出してくれました。で、またまたブラインドになったわけですが、一同、「これは美味い!」と感嘆。ホント、美味しければAOCとか品種とか、何だって良いんですよね。
と言いつつも、私は「これ、知ってるなあ…」と密かに謎解き。「Yoyoじゃないかな?」
…って、コレ、当たった!
ヨーヨーのラ・トランシェ。品種はグルナッシュ100%。最初のノートはヨーグルトっぽい香りでしたが、その乳酸発酵の風味も魅力のひとつ…かな?バニュルスというスペイン国境の近くの地域で造られていますが、南ワインの先入観をくつがえす洗練されたフルーティさ。ほとんどデザートみたい。おつまみ無しで、これだけで美味しく飲めちゃいました。ロマノ、ありがとう!

ロマノは、カリブ海の島にある星付き豪華レストランに転職だそうです。(ケヴィンのビストロとのギャップにビックリ。)ケヴィンのところでご飯を食べるときのワインは、いつもロマノに安心してお任せしていたので、彼がいなくなって寂しいですが、がんばって欲しいです!「一年後にはパリに戻ってくるよ〜」と約束してくれたロマノ。そのときを楽しみに待ってるよ〜!

2012年9月23日日曜日

This summer vacation's wines

なが〜い夏休みをもらいまして、パリに帰ってきたら秋になってました…。
夏休みの間に飲んだワインあれこれを雑多に列挙。

La Sorga (Antony Tortul) "French wine's not dead" 2010
ヴィオニエが香る白ワイン。

Les Vins Contés (Olivier Lemasson) "Le p'tit rouquin" 2010
ロワール地方の軽めガメイ。アペリティフにもってこいのワイン。

Jean Maupertuis "La Plage" 2011
オーヴェルニュのガメイ。軽めだけど、甘みと酸はしっかり。

Olivier Cousin "Rosé d'un jour" 2006
酸化熟成の風味が良い味わいの甘口ロゼ。

P.U.R "Vin de Table" 2010
ガメイとサンソーの酸味がさわやかな軽めロワール。
ラベルは何種類かありました。


Françoise Bedel "Entre Ciel et Terre" Champagne brut
お友達の誕生日があったので、シャンパーニュでお祝い。
オレンジピールやアーモンドの香り、深い味わいで美味でした!

2012年8月7日火曜日

ワインの酸

ぶどうの収穫のタイミングは、ワインのアルコールと甘みの土台となるぶどうの糖分にとって非常に大切ですが、同様にワインに欠かせない酸味にも影響します。ぶどうが熟しすぎると、糖分と反比例して酸味が失われてしまうからです。

酸味はワインを支える、言わば骨格のようなもの。
例えばテイスティングのとき、白ワインなら酸味と甘み、そしてアルコールという三大柱のバランスが問題になります。大雑把に言ってこの三つの要素から構成されていると考えれば、白ワインにおける酸味の役割はとても大きいということがわかります。「辛口白ワイン」というと、「辛い」というより、甘口の反対、つまり甘みとアルコールの与えるまろやかさが少なく酸が多い白ワインなわけです。しかし甘口の白ワインであっても、酸がまったくないわけではありません。酸味のないワインは美味しく感じられなくなります。べたつくように甘ったるかったり、しまりがなく重い印象を与えてしまうのです。
赤ワインには、これにタンニンが入ってくるので、味覚のバランスはもう少し複雑です。赤ワインだと様々な香りやタンニンに気を取られ、白ワインよりも酸味についての評価が忘れられがちですが、タンニンは酸味につられて強く感じられることもあり、赤ワインにおける酸も実は重要な要素なのです。

ワインに含まれる酸にはいくつか種類があり、主要なのは酒石酸、リンゴ酸、クエン酸です。酒石酸はほとんど変化することがなく、一番安定した酸なのですが、急激に冷やされると塩のような塊を形成することがあります(無害です)。リンゴ酸はマロラクティック発酵によって乳酸に変化します。多くの場合、これはバクテリアが働いて自然に起こる現象ですが、この発酵で酸の質と量が変化しワインがまろやかになるため、きりっとしたワインを作りたい場合はSO2(二酸化硫黄)を投入して抑制します。(ただし、赤ワインの場合は、マロラクティック発酵によって酸とバクテリアを変化させないとその後の保存期間中に問題が起きる可能性があるため、必須です。)クエン酸は、多くのフルーツに含まれていて、レモンの酸味として有名です。でも、ぶどうにおいては少ない酸です。また、ぶどうの熟成が進むと急激に減ります。
酒石酸、クエン酸、その他いくつかの酸は、ワイン醸造中に添加することが許可されています。

ワイン醸造は本質として化学的なところがあって、様々な要素(例えば酸とバクテリア)の結合反応、空気やアルコールとの接触などで、味や質に影響が出てきます。そこで、現代的技術を使って醸造中に色々と手を加え、保存状態に左右されない安定したワインや、好みの味のワインを作ることもできるのです。

先日、ラングドック地方のドメーヌの方がうちのワイン屋に見本を持って営業に来たのですが、それをテイスティングした店主が真っ先に「現代的なワインだね」と一言。ドメーヌの方は「酸化防止剤も入れていないし、醸造中のワインには一切手を加えていない、ナチュラルなワインです」と説明していましたが、彼が帰った後で店主は「あの地方であの酸味はおかしいだろ」と。たしかに酸が妙に際立っていて、よく味わうと小粒のよく熟した赤いフルーツのような果実味が後から感じられるのですが、どこかバラバラな印象でした。店主によれば「あの酸は自然な味ではないから、ドメーヌの人には悪いけど、酸を加えているに違いない」とのこと。どちらが正しいのか私にはわかりませんが…そういうこともあるのだなと正直驚きました。

近年、熟しすぎたくらいのぶどうで作られた甘く濃厚でアルコール度の高い赤ワインが流行で、酸味は軽視されがちだったようです。でも、酸味はエレガントさ、爽やかさを与えてもくれます。ワインにとって酸はなくてはならない存在なのです。ぶどうの収穫は、熟成度による糖分と酸(赤品種ではそれに加えてタンニン)のバランスを見極めて行わなければならないわけですが、糖度や果実味の凝縮度を求めていたら酸が足りなくなり、後でごまかす…そんなこともあるかもしれません。

2012年8月5日日曜日

今日のワイン:Audrey et Christian Binner, "Katz'en Bulles (Riesling 2009)" (bis); / Jean-Yves Péron "Vers la Maison rouge" 2008

8月に入ってフランスはヴァカンスまっさかり!パリはどこもかしかも閉まっているお店が多く、住宅地は人気も減って少し寂しい感じ。うちのワイン屋も今日から2週間半ほど夏休みです。昨日の土曜日が最終日でした。

店主は一足先にヴァカンスに出てしまったので、一週間ほど一人で店番でした。週の半ばは意外と普通に売り上げもあり、「ヴァカンス用にまとめ買いしに行く」と予告していたお客さんが何人かいたので、もしかして最終日は混んだりするのかも??とドキドキしていたのですが…全く逆、ものすごーく暇でした。そんなのんびりした雰囲気のなか、以前働いていたSさんが奥さんと一緒に遊びに来てくれ、私の夫も珍しく迎えに来てくれたので、閉店後に「明日からお休みだし、一杯いきますか?」ってことで、ワインセラーで冷やしてあったビネールのスパークリングを開けました。

ビネールのカッツアン・ビュル、これで二度目(最初はこちら)。前回も「うん、ぶどうの果実味がぎゅっと凝縮されてて美味しいね〜」とは感じたのですが、今回はもっと美味しかった!!泡は若干弱めですが、個人的にはクレマンなんかだとシュワシュワしすぎて苦手なので、これくらいのが好きです。味は、なんだか複雑さが増した感じ。「蜂蜜をかけたゴルゴンゾーラ」とはSさんの奥さんの表現でしたが、なるほど、甘みと酸のどちらもがしっかり主張していながらバランスとれてる!このままで十分美味しいし、やっぱりチーズ(ブルー系でもハード系でも)に合いそう。他に、豚ひき肉のパイ包みなんかどうかな…とふっと浮かびました。「最初から最後まで(前菜からデザートまで)これで通せそうですね」と言うSさんに同感。(ただ、これに合うもので献立を考えたら、少し重めなコースになるかも?)

あまりに美味しくてハッピー気分♪
で、火がついた夫が「次は何飲む?」って言うので…ジャン=イヴ・ペロンのガメイ「ヴェール・メゾン・ルージュ」。

実はこれ、4年前に夫がこのワイン屋に初めて来たときに店主に勧められ、夫の好みにバッチリ合致してしまってこのワイン屋に通うきっかけになった私たちのキー・ワイン。(私は働き始める前、ここにお客さんで来ていたのです。)当時、夫はかなり気に入ったようでしたが、私にはイマイチなワインでした。酸味が強過ぎ、なんだか深みに欠けるような気がしたのです。しかしそこはポテンシャルがまだまだ読みれない未熟さの証拠だったのでしょうね。
先日、店内整理をしていたら、このワインが残っている段ボール箱を見つけ、思い入れがある私は「絶対また飲みたい!」と思っていたのでした。別の日にお客さんとこの生産者の話がでたこともあって、店主と電話で業務確認(?)していたときに、このワインを売り場に出して良いか聞いてみたら、「うーん、今どうなってるかわからないから、夏休み明けにテイスティングしてみてからだな」との返事。えっ、そのテイスティングのときに私はいないかもしれないし、それで美味しかったらすぐ売れちゃって入手できないかも…とちょっと焦った私。私の不安(不満?)を感じ取ったのか、「それともなければ、君が一本持って帰って飲んでみてもいいよ」と店主が一言付け加えてくれました。
…という経緯があり、「じゃあ今飲んでみよう!」ということで、開けてみました。

ちなみに、ジャン=イヴ・ペロンはサヴォワ地方の若い生産者。2004年から独自のワインを作り始めたそうですが、彼のワインはとても美味しく、ここ3、4年で人気急上昇、値段も高騰気味。私はそうそう手が出せません…。唯一、ガメイで作った「ヴェール・メゾン・ルージュ」がお手頃価格だったのですが、最近は生産していない模様。
(2013年6月11日追記:ガメイだとずっと思っていたのですが、モンドゥーズだそうです。)

まず、色がとても薄めで、時間が経っているせいか、少しオレンジがかっていました。飲んでみると、酸味はずっと落ち着いて、ミネラルと深み、うまみが感じられ、すっごくすっごく美味しい!!

で、即買い(2本)。

照明を落とした店内で、まったりとおしゃべりしながら美味しいワインを飲んで、とっても楽しかった!そして気がついたらもう夜11時!閉店から2時間以上過ぎていたのでした…。あまりにゆるやかな時間だったので、そんなに遅くなっているとは気がつきませんでした。

お店をしっかり閉めて、さあヴァカンス!
いっぱい飲むぞー。

2012年7月26日木曜日

今日のワイン:Le Pré Noir (Pascal Simonutti) "Le Pré Noir (étiquette verte)", Michel Guignier "Bistère" 2007

前から噂には聞いていて、一度行ってみたいと思っていたCoinstot Vino。ワイン好きの友達がオススメだというので、予約してもらって一緒に行ってみました。

約束の前にワイン屋で閉店まで仕事していたのですが、たまたまお店に来ていた常連客のPとお喋りしていたらこのビストロの名前が出て、「今日あそこへ行くなら絶対これを飲みなさい」と言われたワイン。
パスカル・シモニュッティの青ラベル(というか、本当は緑らしい…?ビミョー)。多分2010年。品種はガメイ100%。
これを頼んだら、すぐ返ってきた言葉は「ああ、あれね、すっごいナチュラルですよ〜〜」。カラフしてからグラスに注いでくれましたが…うーん、よくわかった、その言葉の意味。とってもアニマル。というか、厩のような、生きている獣の皮と毛のにおい。でも還元香なので、グラスをぐるぐるまわすうちに消えていきました。それでも最初はなかなかとっつきにくいワインでした。あー、カーヴ・オジェの試飲会でパスカル・シモニュッティさんに会ったときのことを思い出します〜(「俺は俺、他人のことは関係ないぜ」っていう印象だったのです)。除梗してないのかも?青い苦みがあります。そして、ロワール地方(トゥーレーヌ)ながら少しどっしりとした果実味。そこはかとなく可能性を感じ、もうちょっとひらくのを待った方が良かった気がしますが…「すごい!」「美味しい!」と、こういうワインが大好きな友達と夫にぐいぐい飲まれてしまいました…。(個人の好きずきなのか…私のワインの味覚がまだまだ未熟なのか…。)

私は前菜に魚を選び、この赤があまり合わない気がして、飲むのを控えつつ食べたので、特に他の二人に遅れをとってしまったのでした。
タプナードがのったグリルの鯖と、ピクルスがのったやわらかい鯖のデュオ。

そしてメインにはイベリコ豚のプルーマという部分のグリル。
これもPにおすすめされた一品。牛ステーキみたいに焼き加減を指定できます。レアでお願いしました。外側はカリッとしていて、中はとってもやわらか。じゅわっと脂がしみて、私にとってはちょっぴりしつこかったですが…。
友達と夫はそろってタルタルステーキ。
薄くスライスしたパルメザンチーズがのっています。じゃがいもが別皿でくるのが嬉しい。「このタルタル、ワインに合うねえ」とご満悦な二人でした。(そして私のメインとのマリアージュはいまいちでした…。まあそんな日もあるわな。)

メインもほぼ食べ終わってしまいましたが、やっぱり3人(しかもワイン好きのこの面子)で1本では足りない!ということで、ソムリエのギヨームにおすすめをお願いしたら持ってきてくれたのが、ミッシェル・ギニエの「ビステール」。ガメイ続きで選んでくれました。
ミッシェル・ギニエはボジョレの生産者。見本市で会ってお話したことがありますが、真摯にワイン作りをしている姿勢が伝わってくるムッシューです。これは村名ヴォールナールのアペラシオンですが、ボジョレ・ヴィラージュや、ボジョレのクリュ(フルーリ、ムーラン・オ・ヴァン)など、いくつかの違うAOCのワインを作っています。でも、自らのワインがAOCだけで呼ばれてしまうのが嫌だそうで、それぞれに名前をつけています。
こちらも奥深さはありましたが、時間が経つと酸味が出てきて最初のに比べると軽め。申し分なく正統なボジョレ。

この後、ワインに合わせてギヨームがチーズを味見させてくれ(おいしいトム、日本酒の生酒を思わせる味がしました)、続いてフランに目がない夫がデザートを追加注文…と、楽しく満腹。閉店すぎまで長居してしまいました。

ビストロでよく見かけるのは大人のカップルですが、数人でわいわい食べて飲んでご機嫌なグループもあったり、旅行者の家族連れグループもあったり、ビールだけ飲んで帰ったグループもあったり…と、気さくな雰囲気のビストロでした。また行こうっと!

2012年7月25日水曜日

今日のワイン:La Sorga (Anthony Tortul), "Aubunite" 2010

先日も飲んだラ・ソルガのワイン、今回のはカルカッソンヌ産らしいです。
「オービュニット」という名前のワイン。そしてこのラベル……。

このラベルに引いてしまって買わないという人が沢山いそうな気がします(-_-;)
なぜにこのようなラベルなのでしょうか?中世の雰囲気の残るカルカッソンヌだから??(いや、カルカッソンヌに行ったことないので知りませんが。)


ぶどう品種はカリニャンとオーブン(Aubun)というあまり聞いたことのない品種。(ちなみにオーバンAubinという白品種もあるらしいですが、別物。)オーブンの原産は南ローヌ地方のヴァントゥー山ふもと辺りらしいですが、風に弱く、あの地域のミストラル(北風)には耐えられないのでしょう、新しく植える人はいないらしいです。ラングドックの方でまだ栽培されているみたい。
抜栓してみたら、コルクがすでにヴァニラっぽい香り。だからブショネではないと思うのだけど、すごくそれに近いような木の香りがしました。樽熟成?(でも、通常、うちの店主は樽熟成の性質が突出しているものは好んで仕入れないはずなのに…?)ヴァニラのようなスパイシーなアロマにメロンみたいなフルーティさもあり、アルコール度は10,5と低く、口あたりもタンニンも軽め。この樽っぽさが気にならない人ならスイスイ飲めるはず(私は気になってしまった)。
なんとなく「???」が頭の中に渦巻くワインでした。どういうものか確かめるためにもう一本飲んでみたい…。

ちなみに、開けた日に飲み終わらなかったので、翌日少し残っていたのを飲んでみたら、樽っぽさが控えめになり、だいぶフルーティさとタンニンが前面に出て来てよかったです。カラフするべきだったかも。うーん、やっぱりもう一本飲んでみたい…。

7月26日 追記:最初にアップした写真の画像があまりにも悪かったので差しかえました。ついでに裏ラベルも追加。